6月22日(土)、酒田市公益研修センター中研修室1にて「陰謀論やデマ・偽情報を考える」を開催し、本学学生と教職員、一般市民の方を合わせて21名が参加しました。講師として元株式会社テレビ朝日常務取締役の両角晃一氏をお招きしました。両角氏は、本学公共経営研究所の学外研究員や東北福祉大学の客員教授を務めていらっしゃいます。
ご講演では、偽情報の発生メカニズム、世の中に広がるデマの例、陰謀論・噂・都市伝説、世の中の情報に左右されないためのメディアリテラシーの重要性などについてお話いただきました。
両角氏は講演の中で、「偽情報・デマは、不安心理が掻き立てられ正常な判断が出来なくなり、真偽不明の情報を他者と共有して少しでも安心感を得ようとする心理から広がっていく。特に災害時は「伝えなければ」「役に立ちたい」という善意が利用されるケースが多く見られ、より広がっていく」と語り、例として、1923年の関東大震災、2011年の東日本大震災、2024年1月の能登半島地震で広がっていった偽情報についてお話いただきました。また、こうした偽情報に対して、「総務省はGoogleやLINEヤフー等のプラットフォーム事業者4社に対し、偽情報などに対して適切に対応するよう求めている」とし、「陰謀論は、不安な状況を理解・納得したいという心理につけ込んで作られた「物語」で、新型コロナウイルスが流行した頃からクローズアップされた。フランスの心理学者が1895年に刊行した『群集心理』では、“群衆の中の個人は、もはや彼自身ではなく、自分の意思をもって自分を導く力の無くなった一箇の自動人形となる”とあり、この著書はヒトラーやルーズベルトが愛読していた」と解説しました。さらに、米連邦議会議事堂乱入事件やQアノンについて、陰謀論にハマる人の心理についても、お話いただきました。他にも、「「噂」はどんなにメディアが普及しても決して消えることがないもの。「都市伝説」は、真実性が希薄でも、物語として面白いので人から人へ広がっていく」と話されました。
講演のまとめとして両角氏は、「『流言は智者に止まる』という格言が示すように、偽情報に騙されないためにも大事な情報はネットメディアのみでなく、新聞やテレビなど複数のメディアで確認する『ファクト・チェック』をすること、情報の扱いは難しいと意識することが大切」と参加者に呼び掛けました。講演の最後には、「『正しい情報』は人生の大切な道しるべ。情報に強くなることは、人生を歩んでいくことでとても重要な『力』となる」と話されました。
参加者からは、「陰謀論やデマは生ませない・広げないことが大切なのだと思います。情報が持つ影響力を予測する力を身に付けていきたいです」「普段考えないことを学べる講話で知識の幅が広がりました」「情報一つ一つが正しいか否か考え続ける個人の意識が最後の防波堤となることを、改めて認識させられました」などの感想が寄せられました。
地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画・運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。