2024年7月9日(火)本学教育研究棟104教室にて、公開講座「海から日本を守るということはどういうことか」を開催し、本学学生と教職員、一般市民の方など合わせて約70名が参加しました。この公開講座は、本学の樋口恵佳准教授の講義である「国際裁判シミュレーション」に内閣府総合海洋政策推進事務局参事官の谷口礼史氏と防衛省海上幕僚監部防衛部1等海佐の木下正仁氏を外部講師としてお招きして講義いただく内容を、市民の方へ一般公開する形で実現しました。
内閣府の谷口氏からは、日本の海洋政策の重要性や、海洋をめぐるリスク、海洋開発の拡大のために推進している施策等についてご講義いただきました。日本の海洋政策の重要性に関する部分では、「日本は国土面積が世界61位にも関わらず、排他的経済水域の面積は6位であり、重量ベースで日本の輸出入の99.5%が海上輸送によって行われている。日本の平和と繁栄のために海洋安全保障が極めて重要」と解説いただきました。
また海洋をめぐるリスクとして、「紅海を航行中の船舶に対するイエメンの反政府勢力・フーシ派の攻撃を回避するため、多くのタンカーやコンテナ船がアフリカ大陸の喜望峰を経由している。これにより航行日数が2週間程度伸びてしまい、物価の高騰や品不足にも繋がっている」と説明されました。
海洋開発の拡大のために推進している施策としては、「自律型無人探査機(AUV)」の開発・利用の推進と海洋状況把握(MDA)や「海洋再生可能エネルギー」について解説してくださいました。
防衛省の木下氏からは、海上自衛隊について、「海上自衛官は東京ドームの収容人数の46,000人より少ない約45,000人。決して多くはない人数で日本の海を守っている」とご紹介いただきました。他にも海上自衛隊を含む海上防衛力の役割には3つの視点があり、「他国による侵攻を防止・排除する防衛的役割、海洋の権益を確保しつつ秩序を維持する警察的役割に加え、他国との防衛協力・交流としての外交的役割がある」とご講義いただきました。
また、海上自衛隊の戦略目標は「我が国の領域及び周辺海域の防衛」「海上交通の安全確保」「望ましい安全保障環境の創出」の3つであるとの説明があり、その達成のための環境の形成の1つとして「多国間の共同訓練、諸外国への寄港、防衛交流などを行っている」と話されました。今後の防衛力の優先事項として、「情報戦能力」「水中優勢獲得」「スタンド・オフ防衛能力」「持続性のあるロジスティクス」に取り組んでいるとご説明いただきました。
両氏は「ぜひ海洋と日本の未来に関心を寄せて欲しい。今、海の現場や海を支える人材が求められているので、みなさんの将来の選択肢として視野に入れていただければ嬉しい」と呼び掛けました。
参加者からは、「日本が今行っている取り組みや周辺国との関係について学ぶことができて良かった」「海上自衛隊が普段どんな活動をしているのかが分かった」「本日の講義で新しく知ることが多く非常に面白かった」などの感想が寄せられました。
地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画・運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。