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FORUM21(公開講座)「公的年金の必要性を理解し社会とつながろう」を開催しました


イベント

 FORUM21は課外の教養講座として実施している公開講座で、学内外の講師による幅広いテーマのプログラムを実施しています。

 11月10日(月)、酒田市公益研修センター中研修室1にてFORUM21「公的年金の必要性を理解し社会とつながろう」を開催し、本学学生と教職員、一般市民の方を合わせて18名が参加しました。講師として本学の阿部公一教授が登壇し、公的年金の仕組みや公的年金が無かったらどんな社会になるか、などについて講演しました。

 公的年金への加入と必要性について、「『国民年金法第8条資格取得の時期』には『~取得する』と記載されており、本人の意思とは関係ないようにもとらえられるが、第88条には『納付義務』との記載がある。20歳に達したら自然と被保険者になることから『強制加入』と解釈されている」とし、「公的年金がなければ任意加入の私的年金のみになり、保険料を払うのが難しい人は無年金高齢者となる。私的年金を販売する会社には長寿者のみが積極的に購入するようになり、保険料収入総額に対して年金給付総額が多くなるため、運営が難しくなる。保険料を支払えない消費者は市場原理から排除され、社会みんなに対するリスクシェアよりも経営維持のため保険料を支払うことができる消費者のみに販売する『クリームスキミング問題」』が発生する。この問題を解決するには、すべての国民が年金制度に加入する必要があり、非排除性の根拠から『20歳に達したとき』とし、自動的に被保険者資格を取得することとなった」と説明しました。
 公的年金の「強要やインセンティブを用いることなく、人々のナッジ理論を取り入れた広報活動は行動経済学に基づいているため非常に効果的」とし、実際に第1号被保険者に向けたナッジメッセージを提示しながら解説しました。

 最後に「20未満の大学生には利得を強調するメッセージ、1号期間滞納者には損失を強調するメッセージが効果的だと考える。また、利得と損失の両者を並列し、さらに同調効果を促すメッセージも有効と感じる。20歳の学生が実際に受給するのは40年後。いかに分かりやすく若者に公的年金の仕組みを理解してもらうか、今後もより効果的な年金広報・教育に取り組んでいきたい」と述べました。

 参加者からは、「なぜ公的年金が必要なのか、私的年金では発生しやすいクリームスキミング問題の解決など、具体的に学ぶことができ、改めて公的年金の必要性を理解することができた」「公的年金の広報や教育による研究について『これが自分が社会に対してやるべきことだ』と考えていると伺い感動した」「公的な年金がなければ、私的年金を運営する会社、消費者のどちらも苦しい状態になってしまうことを学んだ」などの感想が寄せられました。

 地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画・運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。