HOME > News&Topics > FORUM21(公開講座)「美濃部達吉の憲法論と大正デモクラシー」を開催しました

News&Topics

FORUM21(公開講座)「美濃部達吉の憲法論と大正デモクラシー」を開催しました


イベント

 FORUM21は課外の教養講座として実施している公開講座で、学内外の講師による幅広いテーマのプログラムを実施しています。

 11月20日(木)、酒田市公益研修センター中研修室1にてFORUM21「美濃部達吉の憲法論と大正デモクラシー」を開催し、市民、本学学生、教職員を合わせて24名が参加しました。講師として本学の森元拓教授が登壇し、何が大正デモクラシーをもたらしたのか、美濃部達吉の法思想などについて講演しました。

 はじめに森元教授は自身について「専門は過去の思想家(主に学者)の思想を素材に法学的にモノゴトを考える『法思想史』。思想そのものが社会を動かすことはないが、思想に影響を受けた人が社会を動かすことがあることに魅力を感じる。上杉慎吉の法学をメインに研究している」と話しました。

 大正デモクラシーを招来させた思想は「一般的に吉野作造の民本主義と美濃部達吉の天皇機関説であると言われているが、天皇機関説にはその力がない。他の部分が重要だ」と話し、美濃部達吉の生涯やとその時代背景を紹介しました。
 美濃部の憲法学について「重要なのは彼の法の妥当根拠論(憲法解釈の理論)。彼は、法実証主義に強く反対している。彼は、憲法を解釈する際には歴史、国民の法的確信、文明国に共通の法律思想などを重視すべきであるとして、『帝国憲法の条文を無視してでも議会主義的な立憲主義の精神を実現すべし』と主張した。このような『反法実証主義』的性格を有している彼の憲法解釈は、天皇の絶対的支配権を否定することを意味する」と説明しました。

 最後に「憲法学者としてはマイナーな存在だった美濃部は1912年の天皇機関説論争以降、『時代の寵児』『最も影響力のある学者』へと押し上げられ、学界や政界も美濃部の学説を無視することができなくなった。美濃部の反法実証主義的な憲法解釈が社会的影響力を有するようになったことを意味し、後の制限君主制や政党内閣制などへの途を理論的に開いたこととなる。つまり美濃部の反法実証主義が大正デモクラシーをもたらしたと考える」と述べました。

 参加者からは、「予備知識がない状態で話を伺ったのですが、大変分かりやすくて面白かった」「大変おもしろく今後、より学びを深めていきたいと思えた」「自分の専門外の部分の講話だったが、講師の先生の熱量が伝わってきて、大変よかった」「法思想史の専門というのは初めて聞いたが、人の魅力を掘り下げていく楽しい研究だなと思った」などの感想が寄せられました。

森元教授の論文は下記からご覧いただけます。
https://researchmap.jp/genntaku/published_papers

 地域共創センターでは、学生や教員が話題提供者となって開催する小規模で双方向形式の教養講座(共創カフェ)や、センターが企画・運営する公開講座(FORUM21)を学内外の講師による幅広いテーマで開催してまいります。開催については、本学ホームページや地域共創センターSNS(Instagram、Facebook)でお知らせいたします。